共同声明・申し入れ

2024.08.06

首相・閣僚などによる靖国神社公式参拝中止要請のこと

私たち真宗教団連合は、1969(昭和44)年の結成以来、一貫して、首相及び閣僚などの靖国神社公式参拝に対し、抗議し、中止を求め続けてきました。

靖国神社は、国家権力による戦争の犠牲者を、「英霊」として合祀することによって戦争を「聖戦」と正当化し、その犠牲者を讃えるという、国家神道の中心的役割を果たしてきました。

日本国憲法における「信教の自由」及び「政教分離」に関する厳密な規定は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」(前文)、「国際平和を誠実に希求する」(9条)という願いにおいて、きわめて重要な役割をはたす規定であり、首相及び閣僚などによる靖国神社公式参拝は、日本国憲法のこの精神に背くものであります。

釈尊は、「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身をひきくらべて、殺してはならぬ。殺させてはならぬ」と説かれ、また、仏法に教え導かれるところ「 国豊民安 こくぶみんあん  兵戈無用 ひょうがむよう 」(国は豊かになり人々は平穏に暮らし、武器をとって争うこともなくなる)とも説かれました。そして親鸞聖人は、「世のなか安穏なれ 仏法ひろまれ」と願われました。

しかし、私たち真宗教団は、その教えに背き、日本国家が明治以来行ってきた戦争に加担し、計り知れない惨禍を自国と他国の人々に与えてきました。私たちは、このことを深く懺悔し、念仏の道を歩むものとして、敵・味方の区別なく、すべての戦争犠牲者の声に耳を傾け、その声を仏の平和を願う声と聴きとり、有縁の方々と共に、追悼法要などを通して、非戦・平和に向けた取り組みを、今後とも進めてまいります。

ここに、あらためて、現憲法の原則に則り、靖国神社公式参拝の問題性を認識し、公式参拝を行わないよう切に要請いたしますとともに、今後とも「国際平和を誠実に希求」する取り組みを進められますよう要望いたします。

2024(令和6)年8月6日

真宗教団連合    
浄土真宗本願寺派 総長 荻野 昭裕
真宗大谷派 宗務総長 木越  渉
真宗高田派 宗務総長 増田 修誠
真宗佛光寺派 宗務総長 八木 浄顯
真宗興正派 宗務総長 秦  直樹
真宗木辺派 宗務長 髙田 信良
真宗出雲路派 宗務長 茨田 宣丸
真宗誠照寺派 宗務長 加茂 博史
真宗三門徒派 宗務長 遍照 恵応
真宗山元派 宗務長 佛木 道宗

内閣総理大臣
岸 田 文 雄 殿

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