共同声明・申し入れ

2018.08.07

首相・閣僚による靖国神社公式参拝中止要請のこと

真宗教団連合は、昭和44(1969)年の結成より終始一貫して、首相及び閣僚が靖国神社を参拝されることに対して、抗議や中止の要請を行ってまいりました。

申すまでもなく靖国神社は、国難に殉じた戦没者を英霊として顕彰し、祀る神社として創設され、先の大戦まで戦争遂行の精神的支柱として国家神道体制の中心的な役割を担ってきたことは歴史的事実であります。同時に、戦争で犠牲になられた方を特定の基準で選別し、故人の宗教や遺族の意志に関わらず、強制的に「神」として合祀する極めて特異な一宗教施設であります。

先の大戦の反省に立ち、国際平和を誠実に希求し、基本的人権の尊重を謳った日本国憲法では、個人の信教の自由を保障するとともに、政教分離の原則を明確に打ち立て、国家に対し宗教的中立性を要求し、特定の宗教と国家とが直接結びつくことを禁止しております。

したがって、歴史的に見ても、合祀のあり方からも、特異な一宗教法人として存在する靖国神社が今もなお「我が国における戦没者追悼の中心的施設である」という主張には無理があります。国家を代表する首相及び閣僚が公式参拝されることは、憲法に定められた「信教の自由」「政教分離」の精神に背く行為であることは明確であり、どのような形式をとりましても決して容認できるものではありません。

釈尊は、仏法に教え導かれるところ「 国豊民安 こくぶみんあん (こくぶみんあん) 兵戈無用 ひょうがむよう (ひょうがむよう) 」(国は豊かになり人びとは平穏に暮し、武器をとって争うこともなくなる)と説かれ、浄土真宗の宗祖親鸞聖人は「世のなか安穏なれ 仏法ひろまれ」と願われました。

しかし、私たち真宗教団は、その教えに背き、計り知れない惨禍を与えた戦争に加担してきました。今、あらためて過去の過ちを深く懺悔するとともに、仏教者として、敵味方の区別なく、すべての戦争犠牲者の声を仏の願いとして聞き、それに報いるために、有縁の方々とともに追悼法要などを通して非戦平和に向けた取り組みを進めております。

今日まで日本は現憲法の「戦争放棄」のもと、恒久的な平和の実現を求めてきました。貴職及び閣僚におかれましては、あらためて現憲法立憲の精神に照らし、靖国神社公式参拝のもつ問題性を十分に認識され、公式参拝を行わないよう切に要請いたしますとともに、今後とも世界平和に向けた取り組みを進められますよう要望いたします。

平成30(2018)年8月7日

真宗教団連合    
浄土真宗本願寺派 総長 石上 智康
真宗大谷派 宗務総長 但馬 弘
真宗高田派 宗務総長 増田 修誠
真宗佛光寺派 宗務総長 佐々木亮一
真宗興正派 宗務総長 三井 雅弘
真宗木辺派 宗務長 瓜生 道修
真宗出雲路派 宗務長 泰圓澄法嗣
真宗誠照寺派 宗務長 茨田 隆信
真宗三門徒派 宗務長 黒田 昌英
真宗山元派 宗務長 佛木 道宗

内閣総理大臣
安倍 晋三 殿

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