真宗教団連合30周年記念事業

1 趣旨

平成12(2000)年に真宗教団連合結成30周年を迎えるにあたり、「真宗教団連合憲章」の目的に基づき、真に時代に即応する教化活動を展開するため、記念事業を実施する。

2 理事長挨拶

真宗教団連合結成三十周年にあたって─原点に立ち、さらなる躍進を─

真宗教団連合 理事長 木越 樹

真宗教団連合が、昭和四四(一九六九)年四月一日、真宗十派により結成されて三十周年を迎えました。これを機に、これまでの反省を踏まえ二十一世紀へ向けて「共同宣言」を内外に発表いたします。

顧みますと、創立時の「真宗教団連合共同宣言」に、「科学技術のめざましい発達は未知の世界を開き、・・・豊かな社会を実現しつつある。しかし、人間はこの華やかな状況の中で、逆に自由を奪われ、人間らしい心を失い、かえって本当に生きる道をたずねあぐむような、新しい危機に直面しているようである」と述べています。

この結成に尽力された一人である、当時の訓覇信雄大谷派宗務総長は、約二〇〇〇名の御同朋が集われた大谷派での「共同宣言同朋大会」で、「広く人間の危機克服という根源的な現代社会の要請にこたえて、真宗仏教を開顕せねばならぬ責務と使命を痛感する」ところから、「宗派的エゴイズムをこえて、宗祖親鸞を教団の私有化から解放し、人類の教師として、庶民の救済をかかげ、庶民のなかに埋没された聖人のご精神を改めて深く闡明せねばならん」という志願に促されて真宗教団連合が結成されたのであり、「深刻な危機的様相から発生する現代社会の諸問題については、もはや親鸞教徒として傍観することが許されない実情にたたされている」ばかりか、「ここにわれわれは、長く宗祖聖人の遺徳の上に安座しつづけてきたことの深い懺悔を通して、聖人のご聖意を疎外する旧来の殻を破って、現代に新しく聖人を迎えんとする前進体制の第一歩がここに宣言されましたことを、私どもは深い喜びとする・・・」(趣意)と、述べられた言葉を、私は、あらためて肝に銘じたく存じます。

そして、発足当初の精神や情熱を間違いなく相続して、現代の人間が抱えている問題に立ち向かわなければなりません。

このたびの三十周年にあたり、宗祖親鸞聖人の七百五十回忌を二〇一一年にお迎えすることを視野にいれつつ、様々な記念事業を遂行いたしますが、根本の願いは、宗派・教団内の親鸞ではなく、世界人類が遭遇し、内包している人類の生存にかかわる危機の中から、しかも全人類の深奥に貫かれている根源的な要請に耳を傾け、親鸞聖人の開顕された真実のみ教えに私どもの一人ひとりが生きることを通して、本願念仏の道を証し伝えていくことにあります。

すでに念仏僧伽の伝統をこの身に受けている者の一人として、この様な仕事に参画し得ることに限りない恩徳を感ずるのであります。

3 真宗教団連合結成30周年記念事業基本骨子

共同宣言の発表

結成20周年時の共同宣言を踏まえ、来る平成23年にお迎えする宗祖親鸞聖人の750回忌を視野に入れ、21世紀における真宗教団連合の歩むべき方向性を明確にするため、平成12(2000)年9月29日共同宣言を発表いたしました。

パネルディスカッションの開催

共同宣言の内容について深く考察し、社会に向けて広く周知するため、平成12(2000)年9月30日シアター1200においてパネルディスカッションを開催いたしました。

記念式典の開催

各派宗主様をはじめ教団連合関係者に参集願い、平成12(2000)年9月29日京都全日空ホテルにおいて記念式典を開催いたしました。

インターネットホームページの開設

真宗教団連合の歩み、活動内容、その他真宗全般にわたる内容を広く発信するため、平成12(2000)年9月29日インターネットホームページを開設いたしました。

意見広告の掲載

真宗教団連合並びに共同宣言を広くアピールするため、平成12(2000)年12月広告ポスターを作成し、各派宗務所・地方機関・寺院・関係学校等に配布いたしました。

各支部・地区に記念行事開催の奨励

記念式典、シンポジウムを中心とした記念行事開催を奨励し、各支部・地区において記念行事が開催されています。