浄土真宗について(用語解説)
浄土真宗とは
鎌倉時代初期の僧親鸞を宗祖と仰ぐ大乗仏教の宗派のひとつで、浄土信仰に基づく日本仏教の宗旨。親鸞自身は「浄土真宗」「真宗」を宗旨名としてではなく、師である法然上人によって明らかにされた浄土往生を説く真実の教え、阿弥陀仏の本願による念仏往生の教えを指して用いたが、親鸞の没後、門弟たちによって宗旨名としても用いられ、やがて教団として発展していった。
親鸞聖人について
今からおよそ850年前の1173(承安3)年、平安時代末期の京都に生まれ、鎌倉時代中期にかけて90年の生涯をおくられた。
厳しい修行こそが極楽浄土への道と言われた時代に、師である法然上人によって説かれた「どのような人であれ念仏をとなえれば阿弥陀仏によって救われる」という他力本願の教えをさらに展開され、多くの人々に救いの道を示された。
「教行信証」と「立教開宗」について
親鸞聖人の主著であり、全6巻からなる浄土真宗の根本聖典。表題は『顕浄土真実敎行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)』である。真宗十派(真宗教団連合)では、親鸞聖人が『教行信証』を制作されたことをもって立教開宗とし、草稿本が1224(元仁元)年4月15日に完成したとされることから、毎年4月15日を「真宗立教開宗記念日」と定めている。
「他力本願(たりきほんがん)」とは
「他力」とは、「衆生(しゅじょう)を悟りに導く仏の力」のことを言い、特に浄土真宗では「すべての生きとし生ける者を救おうとする阿弥陀仏の慈悲はたらき」を指す。親鸞聖人は「他力とは如来の本願力なり」と述べられ、一切衆生の救済は、阿弥陀仏のはたらきによって成立することを明らかにされた。
「往生(おうじょう)」とは
仏教では「阿弥陀仏の極樂浄土に往(ゆ)き生まれること」を指す。
「悪人正機(あくにんしょうき)」とは
浄土真宗の教義の中で重要な意味を持つ思想で、「"悪人"こそが阿弥陀仏の本願(他力本願)による救済の主正の根機である」という意味。「阿弥陀仏の本願による救いは、自らの力で煩悩を振り払い、迷いを離れることができない者(悪人)のためにあること」を指す。